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『碑』 〜生者への叙情詩〜
10955
017 柏木梓
019 柏木耕一
046 椎名繭
061 月宮あゆ
069 七瀬留美
088 観月マナ
092 巳間晴香

ぴろ



019 柏木耕一
「……ああ……任せておけ」

生き様
018 覚醒
ゲーム開始後、岩切花枝に襲われる。死にかけたことで鬼の力が例外的に覚醒し、岩切花枝を殺害。
036 (無題)
042 休息
048 涙
051 胸中@柏木耕一
107 謎
気絶していたところを天沢郁未に助けられる。以後しばらくの間行動を共に。
142 強さの価値は(後編)
名倉由依を助けるために天沢未夜子と交戦。この場は引き分けに終わるが、名倉由依の救出には成功。
171 惑い。
天沢郁未の水浴びを覗き見していた折原浩平と遭遇。
271 --落下性--
天沢郁未は折原浩平から鹿沼葉子の伝言を聞いて一行から離脱。また、七瀬彰に保護されていた柏木初音と再会。しばし連れを迎えに行った折原浩平の帰りを待つ。
320 救世主
怪我を負い気絶した折原浩平と気の動転した七瀬留美を救出。
331 竜虎
柏木初音・名倉由衣の元に帰投。その後兄の仇を追ってきた巳間晴香に襲われ、ぼこられる。
347 残照
巳間晴香・名倉由衣が天沢郁未らを探すため一行から離脱。
353 そうだ学校へ行こう!
423 約束
折原浩平ともども大幅に容態が悪化しダウン。しかし柏木千鶴・柏木梓・月宮あゆ・七瀬留美らのやりとりを聞いて気力のみ復活。
424 冷たいナイフ
425 漢の約束
折原浩平、里村茜に刺され死亡。折原浩平の死を看取る七瀬留美を発見する。
431 微笑み。
432 そして、残光。
七瀬彰と再会するも、柏木初音とはぐれてしまったことを責められる。決意を固めた七瀬留美と共に殺人者を止めるべく動き出す。七瀬彰は柏木初音を探しに。
495 笑うということ
七瀬留美と共に行動している最中に、はぐれてしまっていた柏木初音を発見。
504 恒星。
柏木千鶴・柏木梓の死(実は偽装死)を知らせる放送を聞いて動転。しかし七瀬留美に諫められ、二人で柏木初音を追う。そこで高槻達と交戦状態に。
508 最悪の遭遇
516 戦乙女
七瀬留美の活躍により高槻達のうちの一人(マスターモールド)を撃破。
520 疾駆
527 ぬくもり。
529 追想。
柏木初音・七瀬彰・鹿沼葉子と合流。七瀬留美も加えて街へと向かう。
545 閑散。
546 拝火。
558 才子。
無事街へと戻り休息。管理者打倒という共通の目的のため、七瀬彰と組んで街を出る。
572 運命の輪
七瀬彰と共に施設入り口を発見。そこで管理者打倒の同志を探していた坂神蝉丸、その連れの三井寺月代と出会う。
581 ロボットということ
582 七瀬。
583 紅と闇
584 力の渦
585 鉄
更に柏木初音・七瀬留美・巳間晴香を加え、長瀬源三郎および戦闘用HM-12と交戦。長瀬源三郎は七瀬留美によってのされ、戦闘用HM-12はチャージ版中華キャノンの一撃により撃破。
592 The Long Goodbye
594 昼日。
599 Re-Birth
600 捧げるもの
601 人でなくなるということ
戦闘終了後、皆で街へと帰投。待機していた鹿沼葉子・観月マナと合流。瀕死の七瀬彰に柏木初音が鬼の血を与え、これを救う。
611 男二人。史上最大の作戦
613 有罪。
616 七瀬のないしょ
七瀬彰・柏木初音の情事に悩まされつつも、坂神蝉丸と今後の方針を決める作戦会議を続ける。
632 どうか。
七瀬彰や柏木初音ら、他の面々も交え作戦会議続行。七瀬彰は天野美汐と長瀬祐介を探すべく出立。
635 あたし達の決意
作戦会議は遅々として進まず、七瀬留美・巳間晴香が潜水艦捜索のため離脱。
655 正しい脱出のススメ
664 突き刺す雨
作戦会議がおおよそまとまる。坂神蝉丸・三井寺月代が島内への呼びかけを行うために出立。残りの面々は待機。
670 失踪
692 嵐、そして太陽
怪我を負っていた鹿沼葉子が失踪。彼女を捜すべく柏木初音・観月マナと共に出立。
708 間が悪い耕一
鹿沼葉子・七瀬彰と合流。小屋に戻る。
710 動き出す意思
小屋に侵入していた北川潤・スフィーと遭遇。最初は警戒するがやがて和解、神奈備命や禁呪の情報を得る。
712 まだ見ぬ敵
714 霧中。
敵影を発見したという七瀬彰と共に小屋を出るが、七瀬彰は既に狂気に導かれた状態で、不意をつかれ襲われるはめに。ナイフによる刺傷、殴る蹴る等の暴行により瀕死状態。
719 義勇。
723 献身的な手当て
724 長い道。(The Long and Winding Road)
七瀬彰の手により瀕死の重傷を負っていたところを、神尾晴子に助けられ喫茶店で治療を受ける。一時は七瀬彰への恐怖に負けそうになるが、神尾晴子の叱咤激励により奮起。いくつかの武器を譲ってもらって七瀬彰を探すために出立する。
733 女と女の子
737 日々。
道中、神尾観鈴と一緒にいた天沢郁未に発見されて声をかけられるが、二言三言言葉を交わしてすぐに別れる。
738 無力。
743 やわらかな傷痕。
749 「まだ癒えぬ傷痕。(Summer.)」
七瀬彰と再会。説得を試みるが、初音を殺したという七瀬彰の言葉をきっかけに戦闘状態に。それでも説得を続けるが、最後は七瀬彰に敗北し動けぬ状態に。七瀬彰は何処かへと去る。
755 死神と、天使と、
756 夢を見るひと。
七瀬彰を探していた柏木初音・観月マナに助けられる。柏木初音は七瀬彰を止めるべく西へ。
760 明星。
観月マナの治療を受けていたところで柏木梓と再会。三人で柏木初音と七瀬彰を追う。
786 闇へと誘う翼
定時放送とレーダーにより柏木初音の死を知る。柏木梓が怒り狂って飛び出していったところを追おうとするが、観月マナに引き留められる。
800 カウントダウン
観月マナともどもフランク長瀬に襲われる。傷自体はたいしたことはないが、毒が塗られていたためその毒を身に受けることに。
803 ヴァンパイア
観月マナの容態が悪化。必ず迎えに来ると約束し、観月マナを置いて柏木梓を捜しに。
810 心の行き先
813 狼煙
神社の近くにて神尾観鈴・七瀬留美・巳間晴香と遭遇。互いに状況を説明しているうちに北川潤・月宮あゆ・椎名繭の三名もこの場に現れるが、同時に施設の異常を発見する。
816 正しいことを
817 約束を
柏木梓を追うために月宮あゆが、月宮あゆを追うために北川潤が離脱。北川潤から毒の治療法を受け取り、椎名繭を諭して観月マナの下へと向かう。
826 私・ぼく・俺
高野のお陰で大分復調していた観月マナと再会。
829 集うものたち
830 星空の下で
839 雨の中
観月マナと共に他の生き残りを捜しているところを、柏木梓・月宮あゆの両名に発見される。四人で施設に向かうことに。
837 業火
神奈備命に憑かれたスフィーと交戦中の七瀬彰を援護。七瀬彰によってスフィーが殺害された後、弱音を吐く七瀬彰を叱責する。
844 現実に抗う者
七瀬彰ともども観月マナに叱責される。
845 光の四柱
北川潤が発動させた禁呪の光を見て皆で喜ぶ。
846 ためされる絆
実は神奈備命に憑かれている神尾観鈴と合流。七瀬留美に神奈備命が取り憑いているという偽情報がもたらされる。
848 正面衝突
849 一触即発
神尾観鈴に神奈備命が憑いていることを知っている柏木千鶴を中心としたグループと遭遇。ぴろの行動により神奈備命の取り憑き先が暴かれ、神奈備命と交戦状態に。
850 光に背を向けて
七瀬彰を追って先行した柏木千鶴・椎名繭を柏木梓と共に追い、合流。
851 うたかた。
施設入り口にて七瀬彰を退けた神奈備命と対峙。
852 恐慌を制すもの
神奈備命と交戦。
853 小細工、そして
柏木千鶴の死を看取り、その遺言を果たすべく神奈備命と七瀬彰が消えた外へ。
857 死の舞踏
七瀬彰の死を看取った後、七瀬留美・巳間晴香と共に神奈備命と対峙。そら・神尾観鈴の助力により、神奈備命を斬ることを果たす。
860 すくいきれないもの
神尾観鈴を救えなかった自分を責める。
863 Where Have All The Flowers Gone
神尾観鈴・七瀬彰ら死者を弔い、泣く。
865 脱出口
潜水艦発見、地上に居残り海岸で合流することに。
867 BGM Change 鳥の詩(a Last Episode)
そして――

戦績
008 岩切花枝

私評
ヒーロー
 ハカロワに於いては全てのキャラクターが端役であり、重要人物であり、主役であると言える。「ハカロワで最も『主人公』らしいキャラクターは?」と問われれば、答えは人によって違うはずだ。
 では、その質問が私に投げかけられたらどう答えるか。私は、この柏木耕一を推すだろう。

 もちろん、唯一生き残った男性キャラであり、また原典中での主人公でもある――という点も多少は影響している。だが、それらは本質的な部分に比べればほんの些細なことでしかない。
 親友兼ライバルとの確執、大切な人の喪失、ラブロマンス、そして約束――彼は悩み、苦しみ、挫折し、そられを克服し、最後の戦いで全てのケリを付けた。そう、彼の生き様は『ヒロイック』なのだ。

 筆者が特に注目しているのは、「719 義勇。」から始まる神尾晴子とのやりとりである。
 七瀬彰の持つ本当の意味での強さに怯えた柏木耕一を、神尾晴子は彼女なりの方法で叱咤激励する。その結果彼は立ち直るわけだが、同時にそれまではいまいちぱっとしなかった彼のキャラクターの方向性が『ヒロイック』という形に収束していったように思えた。観月マナとのちょっとしたラブロマンスも、それに拍車をかけていただろう。

 男性キャラに限って言ったとしても七瀬彰・御堂・北川潤といった豊富なタレントが揃っているこのハカロワ。単純な活躍の度合いや人気であれば、彼らの方が上かもしれない。しかし、七瀬彰はかっこよすぎて『主人公』というよりはむしろ『主人公の強力なライバル』といった印象を受ける。御堂や北川潤も、確かに魅力的なキャラクターではあるが『主人公』とは少々方向性が違う。
 やはりここは、強さ、弱さ、おとぼけ、シリアス、友情、色恋沙汰、挫折、成長――そういったものを併せ持つ柏木耕一を『主人公』として推したい。

 ちなみに、上記の話の大部分は七瀬留美にも当てはまる。彼女は女性でありながら『ヒロイック』なのである。その辺りについては彼女の私評で語るとしよう。



ぴろ
「……またな」

生き様
031 (無題)
070 割とのんびり
御堂の初期アイテムとして登場。
094 闇の中の出逢い
月宮あゆを発見する。以後月宮あゆも同行。
117 闇の中の二人
御堂に怒られる月宮あゆを慰める。
120 殺人者
眠っていた御堂の頭の上に乗って、御堂を起こす。
155 おすそわけ
月宮あゆにたいやきをおすそわけしてもらう。
162 (無題)
月宮あゆと一緒に湖畔で水浴び。
235 強者の、綻び。
柏木梓と遭遇。柏木梓は御堂と交戦、御堂は柏木梓に月宮あゆを預けて見逃す。再び御堂との二人旅に。
245 明かされる過去、死闘のはじまり
ポテトと遭遇、いろいろと言い争う。結局ポテトも一行に加わることに。
259 快晴
御堂らと共に杜若きよみ・白の放送を聞く。
339 接触
川にてポテトともども御堂の魚獲りを手伝わされる。
351 御堂もビビる!詠美ちゃん様は強いんだぞ!
392 詠美ちゃん様VS御堂
御堂が大庭詠美に投降。御堂・ポテトともども大庭詠美のしたぼくに。
398 拒みたい真実
御堂、兵の詰め所の一つを制圧。一行はバイクに乗って移動。
407 上位者
バイクで移動中。御堂の背中によだれを垂らす。
437 丘の上の遭遇
438 夜明けの死闘〜一触即発〜
439 夜明けの死闘〜超高速の死闘〜
440 夜明けの死闘〜結末〜
長瀬源五郎・戦闘用HM-13に遭遇。バイクで逃亡するも戦闘用HM-13に追いつかれ窮地に。ポテトと共に戦闘用HM-13から大庭詠美を守る。最後は御堂が戦闘用HM-13を撃破して戦闘終了。
445 ここらで休憩タイム
激闘の後の休憩。御堂からご褒美としてサケ缶を分けてもらう。
454 いろんな意味で負けるな御堂!
465 血塗られた花嫁
朝食中に水瀬秋子と遭遇。詠美の桃缶死亡、残り一つ。顔見知りである水瀬秋子の下に行くも、その変貌ぶりに愕然。一行は水瀬秋子についていくことに。
474 道中、ふと思うこと
477 歪む世界
水瀬秋子は背中に背負っていた水瀬名雪の死体を捨てて走り去ってしまう。一行は死体を弔った後、今後の方針を決める。
489 zoo directer
水瀬秋子を追うため教会を探している途中、ポチ・そらが合流。動物組が揃う。
509 戦友との再会 〜御堂〜
511 戦友との再会 〜蝉丸〜
522 最強タッグ誕生
531 再会を誓って〜命の重さ〜
坂神蝉丸・三井寺月代と遭遇。御堂は管理者打倒という目的のため坂神蝉丸との共闘を了承し、再会を誓って別れる。
566 童話戦隊
教会への道中、大庭詠美にブレーメンの音楽隊のようだと言われるが、御堂は桃太郎だと反論。
586 マツリの痕
教会に到着するも、既に事は終わった後。動物組は周囲の偵察。
606 会談
動物組、島の状況等について相談する。
607 生徒手帳を捧げて
椎名繭(反転)と遭遇、教会での出来事について情報を得る。以後椎名繭(反転)も行動を共に。
614 本格的な侵入
617 侵入
施設通気口前にて柏木千鶴・柏木梓・月宮あゆと遭遇。協力して施設に進入することに。動物組は通気口前に待機。
625 サミット
動物組の会談。ポチを留守番に残し、ポテト・そらと共に施設に進入。
651 分析
ポテト・そらと共に御堂らを追って施設奥へ。
656 施設最終戦〜最深部へ〜
657 施設最終戦〜血戦〜
658 施設最終戦〜一瞬の勝負〜
660 さよなら
御堂・大庭詠美コンビと長瀬源五郎との最終決戦を見届ける。決戦の最中、ポテトが大庭詠美を庇って死亡。動物組最初の犠牲者となる。御堂もまたこの戦いで命を落とす。
671 椎名繭は泣かない
御堂・ポテトの死を悲しむ。椎名繭(反転)、キノコの効果が切れ反転解除。
676 活きているモノ
御堂の仙命樹に活発な動きが見られる。
680 復帰
681 画像
椎名繭が動物組の飼育係に任命される。柏木梓・大庭詠美・椎名繭、マザーコンピューターと格闘開始。
697 碁石
あゆの作った自称クッキーを食べて皆で悶絶。
698 そしてここから始まるストーリー
悶絶中にあの世の入り口でポテトと邂逅。目覚めた後にポチと合流。
751 擬似人格起動
766 contradiction
椎名繭にいいように遊ばれる。
802 沸き上がる記憶
国崎往人の遺志を思い出しつつあるそらに従い、ポチも合わせて三人で外へ。
824 傀儡と道化と、人間達と動物達
そらの探し人を求めて外を捜索中。
822 願いと約束と
826 私・ぼく・俺
外で観月マナと遭遇。国崎往人の遺志を少しでも多く受け止めるためそらの人格が変化。
833 空と少女と動物と
834 それぞれの生き様
835 わがまま
施設入り口にて神尾観鈴と遭遇。動物組は神尾観鈴と行動を共にし、施設最奥まで移動。
838 標的
施設最奥にて神尾観鈴と戯れる。
840 意志の力は魔法の力
841 遺志、そして意志――まもるべきもの――
845 光の四柱
神奈備命、神尾観鈴の身体を乗っ取ることに成功。神奈備命を止めようとして重傷を負い、椎名繭(反転)に保護される。この戦いで禁呪の発動には成功したものの、北川潤・ポチの両名が死亡という犠牲を払う。
848 正面衝突
849 一触即発
怪我の身を押して、神奈備命が神尾観鈴の身体を乗っ取っていることを知らせる。
850 光に背を向けて
852 恐慌を制すもの
七瀬留美に保護されそうになるが暴れ、結局月宮あゆに保護される。
854 おねえさん。
月宮あゆによるうぐぅプレスの下敷きに。
856 けもの達の集う場所
神奈備命に憑かれている神尾観鈴を追って、最終決戦の地へ。
860 すくいきれないもの
何もできないまま最終決戦の結末を見届け、緊張の糸が切れる。
862 空へ
864 涙を拭いて
七瀬留美に抱きかかえられつつ、空を舞う一対の羽を見届ける。先に逝った仲間達に誓いを立てる。
865 脱出口
潜水艦発見。艦内の地図を担当。
867 BGM Change 鳥の詩(a Last Episode)
そして――

戦績
なし。

私評
たかが動物、されど動物
 ぴろの初登場は「031 (無題)」とかなり早い。あくまで御堂に配布された初期アイテムとしての登場である。
 しかし、上記をご覧頂ければ分かるように、その生き様は一般参加者にさえも勝るとも劣らない内容なのだ。ぴろ初登場の時点で、誰がこのような展開を予想し得たであろうか。

 ぴろ最大の功績を挙げるとすれば、やはり御堂というキャラクターの性格形成にあるだろう。
 当時、『誰彼』の知名度や評判は決して良いとは言えず、その中でも御堂はただの三流悪役キャラクター程度の認識しか持たれていなかった。その御堂がハカロワの中でこれだけ愛されるキャラクターに昇華したきっかけが、このぴろなのではなかろうか。
 無論、月宮あゆや大庭詠美との出会いもあってのことだろう。だが、原典のままの御堂であれば、同じような状況で月宮あゆや大庭詠美と出会っても容赦なく普通に殺せていたはずだ。御堂の『憎めない三枚目』というキャラクターは、初期のぴろとのやりとりで既に確立されていたように思える。

 影響を与えたのは、御堂のみには留まらない。
 ぴろを始めとする動物組の面々は、対戦闘用HM-13戦・施設最終戦・禁呪発動戦・最終決戦前哨戦・最終決戦といった非常に重要な局面で大きな役割を果たし、物語に多大なる影響を与えた。
 また、「474 道中、ふと思うこと」や「606 会談」をきっかけに動物組にも明確な人格が付与され、それぞれが自分の意志や目的のために動いている。

 たかが動物、されど動物。
 アイテムとして登場した動物がこれほどのキャラクター性を持ち、物語に影響を及ぼすことができる。これもまたハカロワだからこそ持ち得た、ハカロワ独自の魅力の一つだと言えよう。
 惜しくも途中で命を散らした動物組の面々――そして動物組唯一の生き残りとなったぴろの行動や決意は、最大限の賛辞を贈るに値する素晴らしいものであった。



088 観月マナ
「ごめんなさい……私は、弱い人間です」

生き様
058 無題
錯乱状態で逃走中、霧島聖と出会う。腕や足の傷を看てもらう。
061 マナ
霧島聖に諭され、行動を共にすることに。
076 (無題)
霧島聖との会話中に藤田浩之に襲撃される。霧島聖に逃がされる。
079 (無題)
霧島聖、藤田浩之を倒す。霧島聖に言われた通りその場に戻る。
103 (無題)
藤田浩之の武器を捨てに行った際に罠にかかり、ボウガンの矢を足に受ける。霧島聖は藤田浩之を無力化した後、死亡。
110 継ぐ者
自身の治療を行い、意識のない藤田浩之を縛り上げた後、霧島聖の亡骸に別れを告げて出立。
118 (無題)
杜若きよみ・黒に脅迫されるが、虚勢であると見抜いて挑発的な態度に出る。
138 (無題)
164 似たもの同士?
杜若きよみ・黒と口論してこの場を去ろうとした時、相沢祐一が現れるも、目的の人物の情報を聞いてすぐに去る。その後杜若きよみ・黒と別れる。
186 (無題)
住井護と遭遇。澤倉美咲の居場所を知らないと伝えると住井護は逆上。襲ってくるがこれを返り討ちに。
207 (無題)
藤井冬弥・森川由綺と再開。容赦なく住井護に向けてニードルガンを撃った森川由綺とそれを容認する藤井冬弥に幻滅し、この場を去る。
212 (無題)
住井護から取り上げていた荷物を崖に投げ捨てる。
266 (無題)
知人らの死を告げる放送を聞いて精神的に限界に。その場に現れた杜若きよみ・黒に、自分を殺すよう懇願する。
268 「霧島」
杜若きよみ・黒に同行していた霧島佳乃と出会い、姉の死を告げる。その後自殺しようとするが、杜若きよみ・黒と霧島佳乃に諫められ、思い留まる。
346 夜が来る
三人で霧島聖の亡骸の下へと向かう。
352 月明かりの下、赤い女神
霧島佳乃、精神に異常を来し杜若きよみ・黒を襲撃。杜若きよみ・黒を治療しようとしていたところを藤井冬弥らに発見され、森川由綺に撃たれそうになるが、藤井冬弥に抱えられてこの場を離れる。
355 そして一つの決断
森川由綺を救えなかった藤井冬弥を責め、改めて霧島聖の遺志を継ぐ決意をして別れる。
380 朝が来る
このゲームを終わらせるべく動き出す。
381 闇、と、光
長瀬祐介・天野美汐と遭遇。
402 彼の疑問と、彼女の強さ
自殺を図った長瀬祐介を治療。自分の境遇を話す。
426 生きる理由
長瀬祐介・天野美汐と別れ、再び霧島佳乃を捜しに。
446 Memories
霧島佳乃と再会するも、またも襲われる。必死の説得の末、霧島佳乃は正気を取り戻す。
469 命の炎〜鈴の音〜
470 命の炎〜現実〜
471 命の炎〜そびえたつ洋館〜
472 命の炎〜盛る灯〜
473 命の炎〜生きるということ〜
霧島佳乃と共に霧島聖の亡骸の下へと辿り着くが、霧島佳乃が篠塚弥生に撃たれ、二人で洋館へと逃げ込む。霧島佳乃の治療を試みるが適わず、逆に先に逃がされる。霧島佳乃は篠塚弥生を足止めして死亡。洋館は炎上。霧島佳乃の残した言葉を頼りに国崎往人を捜すことに。
551 幽霊さん?
557 影の世界へ
柏木千鶴と遭遇。奇襲されるが、その後は説教をすることに。互いの意図を確認し、情報交換。柏木千鶴と別れて国崎往人・柏木耕一・七瀬彰・柏木初音を捜しに行く。
561 七瀬と柏木
柏木初音・鹿沼葉子・七瀬留美と遭遇。鹿沼葉子の治療を行う。
599 Re-Birth
戻ってきて早々倒れた七瀬彰の治療をする坂神蝉丸を手伝う。
611 男二人。史上最大の作戦
613 有罪。
616 七瀬のないしょ
三井寺月代と共に、七瀬彰・柏木初音の情事を覗いてしまう。
655 正しい脱出のススメ
664 突き刺す雨
作戦会議がおおよそまとまり、怪我人らと共に待機することに。柏木耕一と話し込む。
670 失踪
692 嵐、そして太陽
708 間が悪い耕一
柏木耕一・柏木初音と共に、七瀬彰・傷を負ったまま失踪した鹿沼葉子を捜しに。無事合流を果たす。
710 動き出す意思
712 まだ見ぬ敵
小屋に帰投後、PCを使用していた北川潤・スフィーと遭遇。神奈備命や禁呪の情報を得る。
721 夕べの祈り 序曲
726 -- Kizuna --
鹿沼葉子と共に、暴走する七瀬彰・柏木初音を止めようとする。
738 無力。
745 使徒
鹿沼葉子・柏木初音と共に、柏木初音を撃ち殺せずに姿を消した七瀬彰を捜す。
755 死神と、天使と、
756 夢を見るひと。
鹿沼葉子が再び失踪。満身創痍の柏木耕一と再会するも、柏木初音は七瀬彰を追って離脱。
760 明星。
柏木耕一を治療中、柏木梓と遭遇。三人で七瀬彰・柏木初音を追う。
786 闇へと誘う翼
柏木梓、柏木初音の死を告げる放送を聞いて暴走。柏木耕一と共にそれを追う。
800 カウントダウン
柏木耕一と共にフランク長瀬に襲撃され、鋏に塗られた毒を受ける。
803 ヴァンパイア
毒の影響が出始め、身動きが取れなくなる。柏木耕一に柏木梓を追わせ、自分はその場に留まることに。
805 チェシャ猫〜再び裏舞台へ〜
806 Tomorrow
高野により解毒が行われる。死者との邂逅を経て毒を克服し、高野の残していった非常食を得る。
822 願いと約束と
824 傀儡と道化と、人間達と動物達
826 私・ぼく・俺
829 集うものたち
830 星空の下で
839 雨の中
動物組と遭遇するも、すぐにいなくなってしまう。その後間もなく柏木耕一と再会、柏木耕一に連れられ他の生存者と合流する。休息中、柏木耕一といい感じの雰囲気になる。
844 現実に抗う者
845 光の四柱
問答無用でスフィーを殺した七瀬彰に怒りをぶつけるも、柏木梓に窘められる。北川潤が発動した禁呪の光を見る。
846 ためされる絆
神奈備命が誰に取り憑いているかを確かめて行動を起こそうとする柏木耕一を止めようとする。
848 正面衝突
849 一触即発
神尾観鈴に神奈備命が憑いていることを知っている柏木千鶴を中心としたグループと遭遇。ぴろの行動により神奈備命の取り憑き先が暴かれ、神奈備命と交戦状態に。
850 光に背を向けて
七瀬留美・巳間晴香・月宮あゆと共に先行した人々を追う。
852 恐慌を制すもの
854 おねえさん。
神奈備命の影響を受けた巳間晴香に刀で袈裟斬りにされ、気絶。
857 死の舞踏
気絶から回復、幸いにして傷は浅かったが打撲が酷い。しばし柏木千鶴の亡骸にすがった後、決戦の場へと向かう。
863 Where Have All The Flowers Gone
死者を弔う柏木耕一の姿を呆然と見守る。
865 脱出口
潜水艦発見、地上に居残り海岸で合流することに。
867 BGM Change 鳥の詩(a Last Episode)
そして――

戦績
なし。

私評
理想と現実
 ハカロワに於いての観月マナは、神尾観鈴・月宮あゆと並ぶ「守られる者」であったと言える。そして、直接的に彼女の為に犠牲となって散っていった者も多い。

 霧島聖。
 杜若きよみ・黒。
 霧島佳乃。

 観月マナは、恩師から引き継いだ理想を持っていた。しかし、彼女には理想を実現するだけの力はなかった。良くも悪くも、彼女はただの女子高生なのだから。それが最大の不運だった。彼女は全てを救おうとしたが、結局全てを救うことなどできはしなかった。「844 現実に抗う者」「845 光の四柱」において、それをはっきりと自覚させられることになる。
 それでもなお、彼女は理想を棄てられなかった。自分の命がどれだけの犠牲の上に成り立っているかは理解しており、何度も挫折しそうになりつつも、その事実から逃げ出すことだけは最後までしなかったからだ。

 理想を棄て現実を見つめる者にとって、観月マナの言動や行動原理は偽善に満ちたものに見えるかもしれない。だが、忘れてはならない。理想を棄て現実を見つめることと、理想を棄てず現実に抗うことは、方向性こそ違えど同じだけの価値はあるのだ、ということを。

 ハカロワの舞台の中で、観月マナが救おうとして実際に救えたものは決して多いとは言えない。だが、自らの弱さを自覚してもなお理想を棄てなかった彼女は、立派に恩師の遺志を継いでみせるだろう。筆者はそう信じている。

 最後に。
 物語が終わるまで、そして物語が終わった後も観月マナの心の支えとなった恩師の霧島聖から、一つ言葉を借りて私評を終えようと思う。

「私は医者だ。先ほどの観月くんのように怪我をして、あるいは戦闘で傷ついた人間を見つけたら治療する義務がある。誰かが私に襲い掛かってきたとしたら、殴り倒してでも説得する。例え、その行動が命取りになっても、だ」




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